Dialogue with the figurative #02 / 具象との対話 #02
2022
canvas, resin, pigment, acrylic paint
W455mm H530mm D50mm
有機体としての肉体と、デジタルデータを介した現代の様々なツールとの相互作用が、いかにして予期せぬ美を生み出しうるかを探索するシリーズの最初の作品である。
伝統的な美術作品の制作行為においては、アーティストは自らの意図したものを正しく実現することを目指す。例えば、こう描きたいという理想があるならば、それを間違い無く実現出来るようにアーティストは技術を磨き、経験を積む。
しかしながら、この数年間で急激に発達した深層学習AIを活用した制作ツールにおいては、こうした伝統的な技術の蓄積モデルが適用できなくなっている。何故ならば、それらのツールの中でアーティストの入力を元に何かを生成するAIは、アーティストの意図を理解しているわけではないからである。アーティストの意図を理解しないまま、膨大な学習と数学モデルをもとに、統計的に最もアーティストの意図に沿うと推測されるものを出力する。
だが、アーティストとAIをつなぐインターフェースは今のところ不完全であり、無数の予期せぬ出力を生み出している。
本シリーズはこの構造をラスムッセン(Jens Rasmussen, 1926-2018)がヒューマンエラーの構造をモデル化したSRK(Skills, Rules, Knowledge)フレームワークにおけるknowledge based levelの不完全性として理解し、リーズン(James Reason, 1938-)が提案した3種のヒューマンエラー(mistake, lapse, slip)を援用して、AIツールが出力する予期せぬ成果物を、意図を取り違えることによって発生するヒューマンエラーの「mistake」や、うっかり何かを忘れることで発生する「lapse」ではなく、意図(knowledge)を持ったアーティストとAIのインターフェースの不完全性に起因する錯誤(slip)の一種と捉え、この錯誤がアーティストにフィードバックされることでいかなる「予期せぬ美」が生まれるのか、その可能性を追求している。
第一作目では、水墨画の伝統に即して架空の植物を描いたものを撮影した二次元データを3Dモデリングツール「Geomagic Freeform」で読み取り、墨の濃淡を高さのデータに置き換えて粉末焼結造形(ナイロン3Dプリント)で出力。こうして得られた3D造形物をアーティストが顔料で塗装し、原図となった水墨画の構図の通りにキャンバスに接着した。
このプロセスにおいてGeomagic Freeformのプログラムはアーティストの意図を理解しないまま、データを処理し、STLファイルに出力している。一方、アーティストはこうして強制的にプログラムのslipを介在させた成果物を再び自身の感性と肉体を用いて加工し、最終的な作品へと仕上げている。
こうして完成した本作は、植物という具象を表現していながらも、中間プロセスにおいて意図を持たないプログラムが数学とデジタルデータを用いて情報を処理しているため、ある種の抽象を内在化させている。
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