Icon Made of Sand / 砂でできたアイコン  #01 “Nike AIR JORDAN 1”

ARTWORK

Icon Made of Sand / 砂でできたアイコン #01 “Nike AIR JORDAN 1”
2021

砂、樹脂、アクリル
W300mm D300mm H 150mm

 

我々の消費は、異なる価値観をもった未来から一体どのように見えるのだろうか。そんな素朴な疑問に端を発する作品である。

東京のストリートカルチャーの中育った山崎のライフスタイルの中に、ナイキのスニーカーというものは常に絶対的なアイコンとして存在している。

これは、砂でできたスニーカーの彫刻だ。砂でできたNIKE AIR JORDAN1と、アクリルでできたロゴマークでできている。

記号消費のアイコンとしての部分と機能物質としての部分を切り離し、異なる素材と時間経過を与たものである。概念を解体し、異なる時間を与えて異なる二つの要素を再構築する。

我々はアイコンを好み、アイコンと共に生き、アイコンを消費している。これは、現代に生きる我々に向けた、未来からの手紙である。

 

WHAT HE MADE

“Icon Made of Sand”は、20世紀後半から現代に続く消費社会における「記号」の性質を、時間性という側面から探索することを目的として山崎晴太郎が制作する作品群の名称である。

その第一弾となる”#01 Nike Air Jordan 1”は、成形した鋳造用砂にペイントを施したスニーカー本体と、ナイキ社の「スウッシュロゴ」の形の断面を持つ透明なアクリル樹脂、スニーカー本体の成形過程で発生した鋳造用砂の破片、そして3Dプリントに用いたモデリングデータからなっている。

本作品を構成するこれら三つの支持体のうち、鋳造用砂とアクリル樹脂は、生み出された瞬間からそれぞれが独自の時間軸の中で周囲の環境の影響を受けて化学的な変化を続けており、結果として三つの支持体の時間の組み合わせは常に異なっている。ただし、アクリル樹脂の「スウッシュロゴ」部分のみ、モデリングデータを用いて「極めて似たもの」を作り直すことも出来る。

 

 

WHY HE MADE

山崎晴太郎はデザインファームのアートディレクターとして、日々、膨大な「記号」と向き合っている。

これらの「記号」の中には極めてローカルなものもあれば、極めてグローバルなものもある。また、人々の間で交換され、流通してゆく中で肯定的な意味を付与されることもあれば、否定的な意味を付与されることもある。またそれらは時に莫大な金銭の流れを生み、強い感情を引き起こし、人々を結び付け、あるいは分断しうる。

現代のビジネスにおいて「記号」が持つ動的で遂行的な特性は、ひとまとめにして肯定することも、否定することも不可能である。ただ、我々が生きている時代の中にそれは大きな力を持って存在しているという事実があり、我々はそれと向き合い続けてゆく他無い。

それでは、遠い未来から我々の生きた時代をまなざした時、我々と「アイコン/記号」の関わりはどのように見えるのだろうか? それは今現在、我々が「アイコン/記号」について巡らせる考察と同じであるだろうか? 本作品はこの問題を考えるため、三つのモノを組み合わせて我々の時代の代表的な「アイコン/記号」である「スウッシュロゴ」を表現した。

”#01 Nike Air Jordan 1”では、それぞれに異なった時間軸の中にある三つのメディア、すなわち鋳造用砂、アクリル樹脂、デジタルデータを並置することで、これらを支持体とした「アイコン/記号」である「スウッシュロゴ」を取り巻く複数の時間の流れを可視化している。これらによって想起させられる「スウッシュロゴ」の意味内容そのものもまた、休むことの無いインターネット上の情報の流れの影響を受けて常に変化を続けている。

すなわち「アイコン/記号」は、幾つもの流れが交差する中から何らかの機序をもって浮かび上がるものである。それはどこかから送り込まれてくるものではなく、我々自身をも含む消費の場で、発生と消滅を続けている。

また、鋳造用砂は工業製品の部品を生み出すために日々、膨大に用いられているものであるが、我々の消費生活の中には一切、姿を見せない。それはまるで現代の消費空間の陰画のようにして、我々の住む世界のあちこちに一瞬現れては消えてゆく物質である。一方、アクリル樹脂は様々なプラスチックの中でも透明性・耐候性・耐衝撃性に特に優れ、我々の消費生活を華やかに彩っている。そして、デジタルデータは肉眼では見ることが出来ないモノであるが、圧倒的な力で現代の消費生活を駆動し続けている。”#01 Nike Air Jordan 1”の三つの支持体は、このようにして我々の消費生活を支えるモノの三つの領域から選ばれている。

 

 

 

 

 

 

 

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