In Praise Of Shadows / 陰翳礼讃

ARTWORK

In Praise Of Shadows / 陰翳礼讃
2018

美濃和紙、香木、アイアン、ガラス灯具、スピーカー他
W1500  H2000(照明、フレーム含む)

 

『陰翳礼讃』は、日本の作家・エッセイストである谷崎潤一郎が日本独自の美の感覚を論じた随筆集です。

この本の中で、まだ電灯がなかった時代、西洋では可能な限り部屋を明るくし、陰翳を消す事に執着しましたが、 日本ではむしろ陰翳を認め、それを利用する事で陰翳の中でこそ生える芸術を作り上げたのであり、それこそが日本古来の芸術の特徴だ、と谷崎は述べています。

山崎晴太郎は、彼の思想をモチーフに、インクを使わずにタイポグラフィを施した和紙のポスターと、光、音楽、香りを用いて、五感で体感することができるインスタレーションを作り上げました。

 

「美と云うものは常に生活の実際から発達するもので、暗い部屋に住むことを余儀なくされたわれわれの先祖は、いつしか陰翳のうちに美を発見し、やがては美の目的に添うように陰翳を利用するに至った。」

「陰翳礼讃」谷崎潤一郎

 

「陰翳礼讃」は、繊細な和紙を切り抜いて作られたポスターで、その背面に存在する光の透過によってのみ、その文字のプロポーションが浮きあがるインスタレーションです。印刷という文字の定着剤を一切使用せず、素材と光の移ろいを通じて、空間の中に溶けるように存在する文字たち。空間のもつ仄暗さは、刹那的な文字の境界線をより曖昧にし、より魅力的に溶けていく文字の物語を浮かび上がらせます。

また、タイポグラフィ、音楽、香りは、すべて「陰翳礼讃」における静と動、明と暗、侘び寂びを表現するために制作されています。

タイポグラフィにおいては、あえて可読性を崩壊させ、文字としての形態をギリギリで保った不確かで曖昧な存在としてデザインし、漢字の読解的意味合いから逃れ、体感して初めて理解できる「陰翳礼讃」の思想を落とし込んだ形へと集約させました。書体は日本の伝統的な書の筆勢を基本とし、空間に溶け出すようなやわらかで力強い動きを意識しています。光の透過によって映し出されたそれらの文字の形態は、平面でありながらも立体的に躍動し、より曖昧な存在として浮かび上がります。

音楽においては、日本の伝統楽器と笙の音階をベースに電子音で構成しています。同時に、実際に日本で録音された野外音や水琴窟の音も取り入れました。クアドラスピーカーを用いたサウンドシステムによって、会場では奥行きのある音の世界を体感することができます。また、イベント時は、モジュラーシンセなどを用いてリアルタイムで音楽をアップデートすることで、光の移ろいと同じように、移ろう音を体験することができます。

香りにおいては、光が当たった部分では煙が現れ、影の部分では煙が消える、という視覚的な香りのイメージを元に考案されました。煙を出すお香の焚き方として焼香と線香のふたつの方法を採用し、焼香は来客者がよりインタラクティブに展示に参加するため、線香は常時、展示空間を演出するために使用しています。焼香の香りには、和の香りの文脈で最高のものとされる伽羅という香木が使われ、細分化した伽羅を来客者が連続して焼香することで、香りを通して光と陰、そして来場者によってひとつのかたまりとしての伽羅の香りが再現されていきます。線香の香りには、伽羅の香りと相性のいいベトナム産の沈香を使って神秘的な空間を演出しています。

 
 
 
展示
Feb. 15-19, 2018 / Mono Japan 2018 / Lloyd Hotel & Cultural Embassy, Amsterdam

 

 

 

 

 

 

 

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