“Sheet Music for Blank Space / 余白のための楽譜” #01 STEVE REICH / COUNTERPOINT
2021
プロジェクター、LED パネル、プログラムコード
音楽は旋律を持つ。
その旋律を作る音の粒と粒の間には、無限に広がる音の深淵がある。粒と粒の間に存在する、五線譜にすくいとられることがない音の世界。
その粒の合間にある無限の音の世界を、デジタルプログラムによって動的に可視化する。
流体のようなマーブリングは、メトロノームのように一点の速度をもちながら、その図版はスケールを変え、色彩を変化させ続けていく。
黒い画面に浮かび上がる不可思議な紋様は、特定のプログラムを通してすくいとられた、可視化された音楽の部分である。
どんな音楽にもどんな音の繰り返しの中にも、同じ形状は存在しない。
これは、固有の音の欠片であり、音になれなかった音たちの世界である。
山崎晴太郎
What He Made
「余白のための楽譜」は山崎晴太郎が「音」と「(可能性の中で重なりあい、折りたたまれ、あるいは溶け合って存在する)複数の時間」の関係の表現の可能性を問うことを目的として着手した作品群である。
この「余白のための楽譜 #1」はスティーヴ・ライヒの「カウンターポイント」4曲と同じ時間軸において展開される、映像作品である。この作品では三つのスクリーンのうち中央を今現在「カウンターポイント」が辿っている時間軸、左右のスクリーンを「そこにあったかもしれない」極微の時間の断片に割り当てている。
左右のスクリーンに映し出される「あったかもしれない音の断片」の組み合わせは、このプログラムを実行するコンピュータに搭載されたクロックの24時間で一回転するようにプログラムされており、視太陽時とも国際原子時とも協定世界時とも厳密には一致しない。
Why He Made
山崎晴太郎はこれまで一貫して、「何らかの理由で選ばれることなく消え去っていった、無数の「もしかしたらあり得たかもしれない表現・もしかしたら存在したかもしれない時間」」の可視化に取り組んできた。だが、これは論理的には必ず失敗する宿命と同居している。何故ならば、それらが山崎によって形を与えられた瞬間、それらは選ばれた表現・存在した時間となるからだ。山崎晴太郎の作品は、この宿命づけられた敗北の中に様々な手段を用いて残置された無数の可能性の痕跡である。
「余白のための楽譜 #1」は「カウンターポイント」の楽譜が生み出しうる無数の音響の中から、「あり得たかもしれない音の断片」と「実現された音」をともに取り出し、一つの時間軸の中に並置したものである。これにより、我々は今ここで実現されているライヒの「カウンターポイント」と、実現されなかった「カウンターポイント」を、二つの時間軸の対位法の構造の中で経験することが出来る。
この二つの時間軸とは、作品を経験する者の目の前で今まさに流れている時間、そして太陽系の運行とも現生人類が概念として共用しているグローバルな時間とも厳密には一致しない、我々の手元の一つ一つのデジタル機器の中にしか存在しない幻のような時間である。後者の時間は表現する者としての一つの意志の実体化であると同時に、それが大自然そのものとは永遠に一致しないことの証明ともなっている。
How He Made
JavaScriptで書かれたプログラムを用いて音源のスペクトログラムを生成し、その細部を極限まで拡大する。その時に現れてくる図形には一つとして同じものが無い。これらの図形を拾い上げ、左右のスクリーンに投影する。
また、中央のスクリーンには演奏中の曲の音響から生成される図形を投影し、左右に投影される極微の図形と対比させることで、それぞれを「部分と全体」の表現とした。
https://github.com/vlandham/spectrogramJS
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